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あたしの好きな人

第2章 魅力的な友人




岳人side

咲良のアパートに行くのは、いつも1日置きにしている。

誰も決めた訳じゃない、自分が勝手に決めたルールだ。

咲良は決して一人で何も出来ない訳じゃない。

ちゃんと掃除も洗濯もそつなくこなす、一人で生きられない女じゃない。

当たり前に料理も出来る。

パン作り、ピザ作りにはまった時期もあり、俺のようなプロを唸らせる出来映えだった。

器用貧乏なんだろうか。

何でも出来て、すぐに飽きてしまい、その日の気分で食べたいものを料理する。

片付けも完璧。

ただ、本人に言わせりゃ、面倒臭がりだから、本当はしたくはないらしい。

一人暮らしでしょうがないからやるだけで、都合のいい嫁が欲しいと良く言ってる。

だから、馬鹿みたいだけど、俺が嫁になってやると、アピールしているのに。

ただの友人止まりのままだ。

その関係を壊すつもりだった。

昨日洋子が変なこと、言ってたのが気になっていた。

もう昔の話だけど、知らないままの方がいい情報を、いらんこと言いやがって。

明らかに気にしていた。

送りたかったのに、あの後忙しくなって、身動きが取れなかったから、

気になるから、また、咲良のアパートに行く。

アパートの階段を下りる人影に気が付いた。

あいつ……。

会社の後輩だ。

この前、咲良をお持ち帰りした奴。

意識のない咲良を何度も遣りまくった張本人。

……ストーカーか?

だけどその表情は明らかに、上機嫌で、スッキリした艶感があった。

……嫌な予感がした。



急いで咲良のいる部屋に、合鍵で開けようとして、開いたままだと気付いて、

そっと部屋に入った。

ベッドの上で、裸で寝転ぶ咲良を見て、氷ついたように、一瞬動けない。

乱れたベッド、くしゃくしゃになったシーツ、傍にあるゴミ箱には使用済みのコンドーム。

テーブルの上に書き置きがあった。

『咲良さん、また、貴方に無理させてしまって反省してます。ゆっくり今日は休んで、明日会社で会いましょう、俺のこと、少しは好きになって貰えましたか?いい返事を期待してます。……哲』

それを何度も読み返して、ぐしゃぐしゃにしてしまう。

……あいつをまた、受け入れたのか?

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