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西条さんは何か勘違いした様子で、責めるようにあたしが問い質されているんだけど。

どうすんのよこれ？

岳人を睨むけど、ニヤリと笑うだけだし。

しょうがないから、西条さんにあたしが頭を下げた。

「西条さんとのことは、あたしの中ではもう終わったことだから、今さらまた付き合うなんて出来ません、ごめんなさい」

「……君がそんな女だとは思わなかったよ、セフレがいるのに俺と付き合ってたなんて、君には幻滅したよ」

「……っ!」

汚ないモノを見るような目に、胸がズキリとした。

去って行く後ろ姿を見て、ああ、西条さんは、あたしと岳人がセフレだと思って、

あたしはセフレがいるのに、西条さんとお付き合いしてたと思ったから、あんな目で見られたんだ。

「……咲良」

あたしの顔を見て、岳人がハッとしたように口を閉ざした。

「……あんたのせいで、西条さんの中であたしはすっかりビッチになっちゃったじゃない!」

「……悪かった、そんなつもりはなかったんだ」

真面目な顔をして、おろおろしたように、動揺してあたしに触れようとして、手を止めている。

「あんたが何も言わなきゃ、綺麗なままで終わらせることも出来たのにっ!」

「……変な希望を持たせてどうするんだよ！」

あたしの言葉に、岳人の顔色が変わる。

肩をつかまれて、鋭い目で見つめられた。

「お前は昔からそうだよなあ？綺麗に付き合って綺麗に別れて、そんなの恋愛でも何でもないんだよ？お前は適当な男と付き合って、甘やかされただけで、都合が悪くなったらすぐに逃げ続けて、いつになったら、ちゃんとした恋愛が出来るんだよ！」

肩を揺らされて、強い視線に何も言えなくなった。

ちゃんとした恋愛ってなんなの？

今までの何がいけないって言うの？

「誰かのことで頭がいっぱいになることがあったか？そいつのことを考えたら、仕事が手に付かないことがあったか？……俺が気持ちを伝えて、そんな気持ちに少しでもなったのか!?」

「……っ!」

何も……言えない。

今までそんなこと、一度もなかったから。

それが分かったのか、岳人の顔が悲しそうな表情になった。