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あたしの好きな人

第4章 離れて気付く思い




ウェイターに席を案内されて、全体的にガラス窓、外の景色を眺められる解放感に驚いた。

海が見えて、緑豊かな庭園も眺められて、キッチンカウンターがあり、それぞれにシェフが配置されていた。

折角だからステーキを焼いてる場所に行き、和牛肉を少しお皿に取る。

岳人はあちこち眺め歩いては、仕事の電話らしき、ケータイを片手に会話をしていた。

ほっといて好きな料理を取りに行く。

自分で起業することを、洋子が話していたから、準備とかで忙しいのかもしれない。

それなのに洋子の披露宴での料理をプロデュースということは、自分で料理するってこと?

新郎である巽にも何かやらしたら、親族のパフォーマンスになるだろうな。

……お互いに仕事で来てるみたいだな。

やけくそ気味に沢山の料理を取り、岳人と一緒にテーブルに座った。

仕事の電話ばかりだと思ったけど、ちゃっかり岳人のテーブルには高級食材ものばかり並んでいる。

あたしはエビとか蟹とか食べるのが、面倒だから食べない。

不器用だから上手に食べれないしね。

岳人のお皿をじとりと眺めながら、お互いに頂きますして食べはじめた。

いつの間にか頼んでいたのか、生ビールが二つ、ウェイターが持って来てくれた。

「えっ?岳人、仕事は?」

「俺の仕事は今日はここの調査だからな」

「そうなの?じゃあ飲めるの?」

「少しはな、今日の調査は夜もだからな?」

「……えっ?そこまで?」

「ディナーも見ておきたい、今後の参考にもなるからな?都合悪いか?」

少しあたしの顔色を伺うように、じっと見つめられた。

「ううん、大丈夫だよ、じゃあチャペルとかも見ておきたいな?」

あたしだって、今後の仕事で役立つから、どうせならチャペルも見ておきたい。

「ああ、行ってみよう」

そう言って笑う岳人の瞳が、甘く光る。

妙に優しい気がする。

久し振りに合ったからだろうか?

上手に蟹を剥く岳人が、フォークに身を乗せて、あたしの口元に寄せる。

「ほら好きだろ?食え」

反射的に口を開けて、

「うんっ、美味しい~」

しっかり味わいビールを飲む。

剥くのは嫌だけど、好きではあるから、岳人に甘えちゃって沢山食べられた。

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