
あたしの好きな人
第4章 離れて気付く思い
チャペルから出て、岳人に手を引かれて、ただ黙ってついて行く。
ずんずんと先を歩く岳人に連れて行かれたのは、プリンスホテルの一室。
多分、高い部屋なんだろうな。
その広さと、窓の外のロケーションを見て、そう感じた。
「ここも仕事の調査なの?」
窓の景色を眺めて、溜め息を洩らして、岳人を振り返る。
「……馬鹿だな、あれは口実、本当の目的は咲良にプロポーズすることだ」
「って、えぇっ?じゃあ、この部屋は……?」
「……もちろん、お前を抱くためのもんだよ、もう逃がさねぇから、覚悟しろよ?」
スーツの上着を脱ぎ捨て、窓の傍にいるあたしにツカツカと近付く岳人。
その表情はいつになく、真剣でピタリとあたしに照準を合わせて鋭い瞳で見つめられた。
「無理やりあたしに手は出さないって、言ってた癖に…っ」
近付く岳人を、重たい薔薇の花束で叩いてしまう。
花束が散らかり、体を薔薇で叩かれてるのに、ニヤリと余裕そうに笑ってる。
「……咲良さぁ、いい加減素直になれよ、お前、実は俺のこと好きだろ?」
「はぁ…っ?何を言って……!?」
「キスしたら分かるんだよ、嫌がったりもしないだろ?」
「それは……!」
「いつまで待っても、変なセフレみたいな奴にかっさらわれるだけだし、もう、俺のモンになればいいだろ?」
「……勝手なこと言わないでよ、あたしは……っ」
薔薇の花束で、岳人の体を叩いてしまう。
それを邪魔そうに取り上げられて、体を押されて、ベッドの上にトサリ、倒されてしまった。
「もうダメ、俺のモンにするから、それにもう、久し振りに会って、お前を抱きたくて堪らない」
ワンピースのリボンをしゅるりと外されて、胸元が少し開いた。
小さな悲鳴を上げて、そこをじっと見つめられた。
軋りと音を立て、ベッドに上がる岳人。
「……そんな可愛い服、着て来るから、脱がせたくもなるだろう」
「これは……暑かったからで……っ」
ワンピースのボタンを外され、後ろのリボンもしゅるりとほどかれて、
あたしの胸元に綺麗な顔を埋める岳人の頭を押さえる。
「こんな勝負下着も持ってたのかよ?お前の下着も全部把握してるんだよ?……今日はデートのつもりで、俺に抱かれる為に来たんだろ?」
