あたしの好きな人
第6章 怒りの矛先
「もうそんなことはやめちまえ、セックスしたいだけなら、俺が毎日してやるし、セフレにもなってやる」
ドレスの胸元は破られ、そこから覗くあたしのブラジャーを、噛みつくように岳人に咥えられて、ずらされてしまい、
あたしの胸がぷるりと顕になった。
「岳人はセフレになれないよ、好きだから」
「……何なんだよ、その理屈は!?」
「だって、岳人のこと思いだすと、苦しくて……悲しくて……っ、あたしはそんなつらいの嫌なんだもん、だけど哲は優しくて、嫌なことも全部、忘れさせてくれるから……っ!」
泣きながらそう言うあたしの言葉に、岳人は唖然としたように、一瞬呆けた表情になり、
深い溜め息をついた。
「……相変わらず、天然で残酷な女…、どこまでも面倒癖ぇ、それが分かってるのに、追いかけちまう、全く大した女だよ、参りました、だぜ」
顕になったあたしの胸に綺麗な顔を近付けて、胸の先端の突起を軽く噛まれた。
「……あん…っ、痛い…っ」
「これからはずっとお前の傍にいる、俺のことを考える暇がなくなるくらい、傍にいてやるから、寝かす暇もないくらい、セックスしてやる」
「……だって、大阪だし、離れてるじゃん……っ」
自分から黙って転勤した癖に、泣きながら、駄々をこねる。
「まぁ、聞けよ、咲良、今……俺の親父がトンズラしてな?会社を急に丸投げされたんだわ、俺が自分の力で会社を立ち上げようとしたのが、よっぽど気に入らなかったらしい。
だから今の俺は神谷グループという、身内に縛られて、何でだか全国回らされてんだけど……親父を取っ捕まえたら、必ず、お前の傍にいるようにするから……」
そんな口約束、信用できない。
傍に居られないなら、傍にいる哲と一緒にいてしまう。
あたしは昔から弱くて、ズルくて、自分を甘やかせてくれる存在を、
いつも求めていたから。
「愛しているんだ……」
ドレスのスカートが捲られて、その下にごそごそとしている岳人が、
今度はストッキングを引き裂いている。
「やっ…!なに…してんのよ…!」
「なにって……セックス?……久し振りに会ったんだ。抱かない訳にはいかねぇし、我慢できねぇよ」
「だからあたしは……っ、哲との関係がちゃんとしないと、そんな気分には……っ!」