あたしの好きな人
第7章 セフレの固執
ベッドの中眠りについていた。
もぞもぞした感触に、ふと目を覚まし、背中から抱きしめられている。
暖かい、人の体温、慣れ親しんだ、哲の体温に気が付いて、目を覚ました。
「哲、どうしてここに?……あのね、あたし、やっぱり岳人のこと、好きだから、哲とはもう……」
後ろからぎゅっと抱きしめて、あたしの胸を揉んでいる哲が、静かに口を開く。
「うん、分かっているけど、別にそれでいいんじゃない?咲良とはもともとセフレの関係だし、今までどうりでいいよね?」
「……えっ?いや、だからね、あたしやっぱり岳人が……」
「ふうん、あの人、岳人って言うんだ」
あたしの話をちゃんと聞いてないのか、後ろから抱きしめられて、胸の先端の突起を軽く摘ままれる。
「……んっ、……あっ、岳人のこと、知っているの……っ?」
両方の指で胸の突起を摘ままれ、捏ねられて、軽く擦られる。
乳首に甘い刺激を与えられて、甘い声が上がり、身をよじらせた。
「会社で打ち上げしたバーのオーナーだったかな?友人だってみんなに言ってたし、後は、勘かな?」
「……勘?」
「咲良のことがずっと好きだっていう、俺と同じ目をしていたから」
「……っ!」
乳首をぎゅっと強く摘ままれて、痛みに悲鳴を上げてしまう。
「……あっ、……痛い…っ!」
「昨日は彼といっぱいエッチしたんだろう?俺は寂しくて、咲良のことを考えながら、久し振りに一人エッチしたんだ。だから……今日はいいよね?」
「そんなのもうダメ…っ、あたし、もう、哲とは……っ!」
「一昨日もしたのに、急にもうしないの?そんなの我慢できると思う?……それに彼はどうせ咲良の傍に居ない。
咲良が店長の仕事が上手くいかずに、泣いていた時も、大阪の人と上手く馴染めなくて悩んでいた時のことも彼は何も知らない。
俺だけが咲良と一緒に過ごしているのに」
「それは……っ!」
……何も言えない、反論出来ない。
転勤で岳人の傍を離れて、大阪での生活が順調にやっていけたのは、哲のお陰でもあったから。
あたし一人ではやっていけなかったかもしれない。
おばあちゃんの死がショックで、岳人のことも真剣に考えられなくて、
その全てから逃げるように大阪に来たから。
一人では立って居られなかった。