あたしの好きな人
第7章 セフレの固執
……あの女を探し出して……」
最後の方は、寝言のような呟きに変わって、哲はいつの間にか眠ったようだ。
目を閉じて、安心したような寝顔を見て、哲の頭を撫でる。
哲を一人には出来ない。
過去のトラウマで、捨てられることに恐れているんだ。
誰だって問題を抱えている、あたしだってお父さんがいないし、おばあちゃん子だったから、
子供の頃から寂しがりで、一人で留守番もずっと出来なかった。
人は一人では生きていけない。
寂しくて堪らなかった頃、あたしは哲と一緒に過ごしたし、支えられた。
大阪に来る前の岳人の存在のように。
……それじゃあ、岳人は?
ずっと一人でいたの?
……それは考えられない、岳人の店に来るお客さんは、ほとんどが岳人狙いでファンみたいだし、
しょっちゅう電話もあったから。
そんなことを思い出して、イラっとした気分になり、眠りについた。