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その時、カサカサと何かが地面を這うような音がした。姿は見えないが、確実にこっちに近づいてきている。たぶん敵は一体じゃない、数体が僕たちを囲んでるような気がした。

「月影…これはちょっと逃げた方がよくね？」

「…ですね。車で突破しましょう！」

僕たちは急いで車に乗り込んだ。

「アキラくん、こっち！」

荷台に乗ろうとすると、まあやさんが僕の腕を引っ張った。狭いけどまあやさんと密着して助手席に乗りこむことができた。

月影がエンジンをかけてライトを照らす。そして方向転換した瞬間、何かがフロントガラスにぶつかってきた。

「きゃあ！」

まあやさんが悲鳴をあげる。
それはなんと人間と同じ大きさくらいの蜘蛛だった。

「！」

ライトの光が蠢く蜘蛛たちの姿を捉える。
何匹…いや、何十匹はいるだろう。

「振り切ります！！」

月影が叫ぶと同時に、車が急発進した。
車はエンジンを唸らせながら加速していく。
フロントガラスにぶつかってきた蜘蛛は風圧に耐えきれずに空中に飛ばされた。

「なんなのよ、あれ…巨大蜘蛛なんて気持ち悪すぎるわよ！」

「僕も蜘蛛はちょっと…」

荷台に乗らなくて良かったと僕は心底思った。