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僕らのらんど

第5章 美女と兎

タイヤが悲鳴をあげる。
僕たちも悲鳴をあげる。

「ちょっ…なにしてんだよ、月影!!」

「これで蜘蛛を振り落とします!!」

「ええええっ!!」

月影は再びアクセルを踏み、また車をドリフトさせた。それはまるで遊園地のコーヒーカップでめちゃくちゃ振り回されてるような感覚だった。
というか、こんなことができてしまう月影って一体?

「ハアハアッ……そろそろ、いいんじゃないか?」

何度かドリフト走行を体験したあと、僕は辺りを見渡した。車の周りに蜘蛛たちの姿はもうない。

「なんとか振り落とせたようですね…」

「…も、もうだめ…」

途中からずっと無言になって俯いてたまあやさんが、青白い顔をして口を押さえた。

「え!? 吐くの!? ちょ、まっ…」

僕は慌てて助手席のドアを開けてまあやさんを降ろした。まあやさんは草むらの中へと走っていく。

「…くっさ…」

ゴムの焼ける臭いが鼻をついた。

「すみません、大丈夫ですか?」

月影も車から降りてくる。

「月影、すげえじゃん! ちょっとびっくりしたけど、おかげで蜘蛛軍団を追っ払えたし。ドリフトはよくやってたのか?」

「いえ、初めてです」

「はっ!?」

「俺の友人がよくやってたので、見よう見まねでやってみました。意外とできるものですね」

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