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僕らのらんど

第5章 美女と兎

いや、こんな時に何を考えてるんだ僕は…!
邪な考えを振り切るため頭を左右に揺らすと、車体がバウンドした。

「あっ…」

呉葉さんがバランスを崩し、僕の方に倒れこむ。

「大丈夫ですか!?」

とっさに呉葉さんの肩を支えると、近距離で目が合った。

「!」

呉葉さんが上目遣いで僕を見つめる。
吸い込まれそうな黒い瞳と濡れた唇。そして甘い匂いが、僕の本能を目覚めさせようとした。

「呉葉…さん」

その時もう一度車がバウンドし、僕は荷台の角に頭をぶつけた。

「いてっ」

我に返った僕は慌てて呉葉さんから離れる。

「大丈夫ですか?」

「はい…」

逆に心配されてしまった。
なんとなく『やらしいこと考えるからバチが当たったのよ!』ってまあやさんに叱られたような気がした。

僕たちがバニーズの駐車場に着いた頃には、すでに空は薄暗くなっていた。助手席で寝ているまあやさんはとりあえず月影に任せて、僕は呉葉さんを連れて店の中に入った。

「アキラ、こっちこっち!」

アカツキちゃんが手を振ってくれる。
窓際の席にはれんじとヒロキさんがいた。

「遅くなってごめん」

「あれ、その人は?」

三人とも呉葉さんに集中する。
僕が事情を話すと、「なぁんだ、てっきりアキラがナンパしてきたのかと思った!」とアカツキちゃんに突っ込まれた。


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