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僕らのらんど

第5章 美女と兎

「そうですよね、綺麗な方ですよね」

月影はそう言うと黙ってしまった。
一体何が知りたかったんだろう。

はっ…まさか、呉葉さんに嫉妬してるとか?

僕は月影の横顔をチラリと見た。
なんとなく伏せ目がちで落ち込んでるように見える。

『アキラさん…やっぱり男は嫌ですか?』

『えっ…そりゃ当たり前だろ!』

『俺はっ…アキラさん、あなたが好きです!』

『ええっ!?』

『だから、その…少しだけでいいので、触ってもらえませんか?』

思わず変な妄想をしてしまい、更に偽松茸を食べた時の映像がフラッシュバックし、僕はザバアッと湯船から思いっきり立ち上がった。
そしてサウナへ逃げた。

なるべく月影と二人きりになるのは避けなくては…!

「あ」

サウナのドアを開けると、今度はれんじがいた。
一瞬戸惑ったが、引き返すのもなんだし入ることにした。

「ふぅ…」

僕はチラリとれんじの横顔を見た。
確かにこうして見ると、ヒロキさんの言うとおりイケメンだ。ちょっと目付きは悪いけど、またそれがいいとかいう女子もいそうだ。

「おい」

「……」

まさかのれんじに突如話しかけられ、一瞬フリーズした。

「あの女、どう思う」

「…へ?」

「あの呉葉とかいう女」

「えっ、呉葉さん?」

月影と同じ質問でびっくりした。


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