テキストサイズ

僕らのらんど

第5章 美女と兎

結局みんなでヒロキさんを探しに行くと、ちょうど食堂から出てくるのが見えた。
あれだけいた使用人たちはなぜかどこにも見当たらない。

「ヒロキ! シモムラ行こうよ~」

「あーごめん。ぼく、今から呉葉さんとお茶するから情報収集よろしく」

ヒロキさんはさらりと言った。

「えー! あたしもお茶したい!」

アカツキちゃんが頬を膨らませてヒロキさんの腕に絡み付く。

「ん~大事な話するから、アカツキはれんじたちと一緒にいて?」

「おい、ヒロキ。一人で大丈夫か?」

「大丈夫だよ」

ヒロキさんはニッコリ笑った。

呉葉さんと二人きりでお茶を…?
なんか怪しいな…。
まさかあんなことやそんなことを…。

「アキラさん、よろしくね?」

「へっ? あ、うんっ…」

慌てて返事をすると、なぜか隣にいるまあやさんに睨まれた。

「まあ、外よりは安全かもな」

「あ、車使っていいから。何かあったら連絡するよ」

そう言ってヒロキさんは車のキーをれんじに渡すと、上機嫌で螺旋階段を上っていった。
どちらかというと、呉葉さんと二人きりになるのを邪魔されたくないように見える。
まさかな…。

「ヒロキ、大丈夫かな…」

アカツキちゃんが螺旋階段を見上げる。

「大丈夫だよ。ヒロキさん、しっかりしてるし。それにここには使用人も沢山いるし」

僕がそう言うと、アカツキちゃんは納得してなさそうな表情でありながらも頷いた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ