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僕らのらんど

第5章 美女と兎

バックヤードの中には大きな棚がいくつも並び、その中に段ボールが積まれてあった。だからか少し埃っぽい。

「店長、その先に蜘蛛の巣があります」

一番後ろに並んでいる店員さんが声をかける。
四つ目の棚まで来ると、確かに棚と棚の間に大きな蜘蛛の巣があった。

「月影くん、これって…」

「ええ。軽トラの荷台にくっついていた蜘蛛の巣に似てますね」

月影が感触を確かめる。

「おい、気を付けろ。何か、いる」

その何かの気配をいち早く気づいたれんじが、懐から拳銃を出した。

「ちょ、こんなとこでっ…」

「心配するな。実弾じゃない」

僕はホッとした。
確かに耳を澄ますと、カサカサと音がする。
そして僕たちのスマホ画面も赤く点滅していた。
間違いない、あの巨大蜘蛛だ。

「まあやさんとアカツキさんは、みんなを店の外に避難させてください!」

「わかったわ」

「え~あたしも蜘蛛と戦いたい~!」

「アカツキ。外もいつモンスターが出るかわからないんだ、頼むぞ」

れんじの言葉にアカツキちゃんは渋々頷いた。
月影とれんじの判断は正しい。
こんな狭い倉庫の中ではどう考えても戦いづらいし、武器が十分でない僕たちにとっては不利な状況だ。
こんな所では火の魔法は使えないし、実弾がないのはアカツキちゃんの銃も同じだろう。だから二人を安全な場所に行かせた。

「アキラ、ボサッとするなよ」

「……」

あれ?
なんか今初めてれんじから名前で呼ばれたような…。

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