無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

月影は巨大蜘蛛の脚を二本掴むと、思いっきりあり得ない方向に曲げた。
ブチブチッと嫌な音がする。
脚を折られた巨大蜘蛛は声にならない叫び声をあげ暴れだした。

「…くっ…！」

巨大蜘蛛は月影を振り落とそうとする。
しかし月影は折れた脚を利用して、うまく床に着地した。

巨大蜘蛛は折れた脚をプラプラとさせながら、天井を移動する。
そして壁を伝い、床に降りてきた。

「これで戦いやすくなったな」

れんじが棚から降りて、巨大蜘蛛に銃を向ける。
月影もいつでも攻撃できる姿勢をとった。

僕は確信した。
こないだは逃げるしかなかったけど、一匹ずつなら殺れる、倒せる！

しかし巨大蜘蛛は身の危険を感じたのかクルリと向きを変え、バックヤードの出口から逃げてしまった。

「まずい、そっちは…！」

巨大蜘蛛が向かった先は店内だった。
急いで後を追うと、店内には誰もいなかった。

「良かった、みんな外に避難したのか…」

きっとまあやさんとアカツキちゃんが店員さんたちを外へ誘導したんだろう。しかしほっとするのも束の間、巨大蜘蛛は自動ドアから外へ行ってしまった。

「くそっ…！」

すぐに外から悲鳴が聞こえる。
後を追うと、信じられない光景がそこに広がっていた。

「！」

「なんだこれはっ…」

「マジかよ…」

なんと巨大蜘蛛があちこちに出現しており、人間たちは糸でぐるぐる巻きにされていた。