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僕らのらんど

第5章 美女と兎

呉葉さんの屋敷に戻ると、数名の使用人たちが出迎えてくれた。外は巨大蜘蛛が出現したが、屋敷では何事もなく無事だったようだ。
兎太郎は建物の広さに驚いているようだった。

「ヒロキは?」

「ヒロキ様ならお部屋にいらっしゃいます」

僕たちは一階の長い廊下を歩き、ヒロキさんのいる部屋のドアの前まで歩いた。

「ヒロキ、戻ったぞ」

「……ああ、れんじ。おかえり」

ドアの向こうからヒロキさんの声がする。
しかし扉は開かない。

「ヒロキ、話せるか?」

「……」

「ヒロ…」

「ごめん、ちょっと頭痛くてさ…。話は明日聞くよ」

「…風邪か? わかった」

僕たちはヒロキさんの部屋を後にし、とりあえず食堂に戻った。

「ヒロキくん、大丈夫かしら…」

「あたし、使用人さんに頭痛薬がないか聞いてくる!」

そう言ってアカツキちゃんが食堂を出ていこうとした時、ちょうど呉葉さんが入ってきた。

「あら、皆様。お戻りになられたのですね」

「あ、呉葉さん!」

「どうかされましたか?」

「呉葉さん、ヒロキが頭痛いみたいなの。頭痛薬とかないかな?」

「ヒロキ様なら大丈夫ですわ。さきほど薬を飲ませましたので」

「そうなんだ、良かった…!」

ホッとするアカツキちゃんに、呉葉さんは穏やかに微笑む。
相変わらず美人だ。
なんとなく朝よりも肌が艶々しているように見える。

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