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僕らのらんど

第5章 美女と兎

「ごめんね、弱気になっちゃって…。話聞いてくれてありがとうね、アキラくん」

目の端を指で押さえると、まあやさんはベッドから立ち上がった。

「私、お風呂入ってくるね」

「あ、うん…」

着替えの準備をすると、まあやさんはそそくさと部屋を出て行った。
一人取り残された僕は呆然と立ち尽くす。

「…戻るか」

頭をポリポリ掻きながら、まあやさんの部屋を出た。
ため息をつきながら長い廊下を歩く。

あ~やってしまった!
やっぱりいきなり抱きしめるのはまずかったかな…。いけると思ったんだけどなぁ…。

「いや、決してやましいことを考えていたわけじゃなく」

自分で自分に言い訳をする。

「あんな目をされたら…」

僕は壁に掛けてある女性の肖像画を何気なく見つめた。下半身がなぜか黒く塗りつぶしてある。

「…あれ?」

ハッとして辺りを見回した。
いくつも同じドアが並ぶ廊下を見て戸惑う。

「やばい、自分の部屋どこだっけ?」

確か僕の部屋のドアの前には花瓶が置いてあったはず。しかし行けども行けども花瓶は見当たらない。

「マジかよ…」

完全にわからなくなった。
こうなったら一個ずつ部屋のドアを開けて確かめるしかない。アカツキちゃんが着替中じゃないことを祈って。

「僕も月影のこと言えないな」

だいたいこの辺りだろうと思うドアのノブを回してみるが、鍵がかかっていた。

「ん、じゃあ隣」

鍵がかかっている。

「隣の隣」

鍵がかかっている。

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