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僕らのらんど

第5章 美女と兎

「ヒロキさん!!」

「……逃げ、ろっ……」

ヒロキさんは手足を糸で縛られていた。
呉葉さんに精液を搾り取られたせいかゲッソリしている。

「ヒロキさん、今助けるから!!」

とは言ったものの、どうしたらいいのか。

『ワタクシの獲物を奪うなんて許しませんことよ!』

考えてるうちに、呉葉さんからの攻撃が始まった。長い脚の関節を伸ばし、僕を突き刺そうとしてくる。

「うわっ!」

間一髪避けたが、今度は別の脚が向かってきて、僕の背後にある壁に突き刺さった。

「兎太郎っ!!」

ドア付近にいる兎太郎は何やらブツブツと呟いていた。

「兎太郎、こんな時に何やってんだよ!? 僕を守ってくれるんじゃなかったのか!?」

「詠唱だぴょん! 魔法を発動させるまで、少し時間稼ぎしてほしいぴょん!」

「な、なに~~!?」

詠唱だと!?
NPCはそうやって魔法を発動させるのか?

「くそっ!」

二メートルほどある巨大蜘蛛から逃れるには、月影みたいな素早さと体力がないとだめだ。

「ハアハアッ…」

『ウフフフ、アハハハッ』

呉葉さんは楽しんでいる。
一気に殺ってもおかしくないはずなのに、八本の脚で僕をジワジワと追い詰めていた。

「だめだ、このままじゃっ…」

そう思った時、僕の目の前に白いモヤが現れた。
それは徐々に人の形になり、呉葉さんの姿になった。

「あっ…」

もしかして、昨夜階段で見た白い影?
幽体の呉葉さんと、巨大蜘蛛化した呉葉さんが睨みあう。

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