テキストサイズ

僕らのらんど

第6章 デスゲーム

まり先生はつくし先生に任せ、オレは保健室へと戻った。今ならスムーズに脱出できるはずだ。

「やんすさん? オレです、ひなたです」

保健室のドアの前から声をかけてしばらく待つ。

「やんすさん、開けてください!」

もう一度ドアを叩いて声をかけるが、物音すらない。
嫌な予感がして、オレはドアノブをガチャガチャと激しく回してみた。

「……んっ……や……」

「!」

微かに女子の声がする。

「まさか…」

オレはドアを力一杯叩こうと思ったが、音のせいで奴らに見つかるわけにはいかないと思い、外側に回ることにした。

運動場には殺人鬼や野犬がいるから危険だ。
もしかしたら今井先生の死体も…。

だけどやんすさんが出てこないってことは、保健室で何かあったってことなんだ。
女子の悲鳴のようなものも聞こえたし、もしかしてあいつらに…。

オレは細心の注意を払い、中庭からぐるりと回って運動場に出た。

「!」

どうしたことか、あんなに沢山いた殺人鬼や野犬の姿が全くいない。そして襲われていた生徒たちの姿も跡形なく消えていた。

「一体どういうことだ…」

戸惑いながらも保健室の窓際まで行くと、今井先生の死体もなかった。
窓にべっとりついたはずの血の跡もない。

「確かにここで今井先生が襲われたはずなのに…」

だが死んだ瞬間は見ていない。
オレたちが職員室に行っている間に何かがあった?
もしかして今井先生は生きている?

「いやあっ…誰か助けて!!」

その時、女子の悲鳴と窓を叩く音が内側から聞こえた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ