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僕らのらんど

第6章 デスゲーム

あっと思った瞬間には遅かった。
女子の喉元には野犬が噛みつき、ブシュッと大量の血が吹き出した。

「うわああああっ!!」

それを間近で見て、パニクる茶髪男。

「おい、窓閉めろ! 早く!!」

眼鏡男にそう命令するが、眼鏡男が窓を閉めるよりも早く、別の野犬が保健室内に侵入してきた。

「うわっ…来るな、ひぃ!」

後ずさり尻餅をついてしまった眼鏡男に野犬が襲いかかる。

「ぎゃあああ!」

また喉元を狙われ、眼鏡男は息絶えた。

『ヴヴヴ……』

口の周りを血だらけにした二匹の野犬がオレたちに振り返る。

「…っ…」

オレとやんすさんはその場から動けずにいた。
両手両足を縛っていたシーツは外すことができた。しかし野犬はすぐそこまで来ている。きっと今目を離せば確実にやられる。

「俺はっ……俺は絶対死なねぇ!」

その時、隣にいた茶髪男がオレを突き飛ばした。

「!?」

野犬がオレに向かって飛びかかってくる。
万事休すか!?と思ったその時、

『キャン!』『キャウン!!』

野犬の鳴き声が聞こえたかと思うと、目の前で野犬二匹が吹っ飛んだ。

「えっ…」

一体何が起きたのかわからず呆然としていると、茶髪男が野犬二匹に恐る恐る近づいた。

「なんだこれ…」

二匹の野犬の胸には矢が突き刺さっていた。
それは見事心臓に命中しており、二匹の野犬はピクピクと痙攣したあと息絶えた。

「君たち、大丈夫か!?」

窓際にポニーテールをした黒髪の少女が弓矢を持って現れる。

「ゆず先輩!?」

「古賀じゃないか、無事で良かったよ」

『ゆず』と呼ばれたポニーテールの少女はほっとしたあと、こっちに振り返った。

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