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僕らのらんど

第6章 デスゲーム

「見かけない顔だな。大丈夫か?」

男のような話し方でまっすぐオレを見据える少女、ゆず。背はオレとそう変わらない。色白で鼻がスッと通っていて美少女だ。

「ゆず先輩、そいつ転校生なんすよ」

「そうか、私は生徒会長の東堂ゆずだ。君の名は?」

「オレは風早ひなた。助けてくれてありがとうございました」

「風早か。よろしくな」

「……」

どうも話しにくい。
生徒会長をやるくらいだから、きっと正義感が強いんだろうな。

「ひ、ひなたしゃん……」

やんすさんがシーツを体に巻いてベッドから降りてきた。が、つまずいて下半身をさらけ出してしまう。

「な、なんだお前はっ…」

それを間近で見てしまったゆず先輩は、顔を真っ赤にさせてやんすさんから目をそらした。

「古賀、やんすさんの服はどこだ」

オレが睨みながらそう言うと、茶髪男の古賀はチッと舌打ちをした後、掃除ロッカーの中からやんすさんの服を取り出した。

「古賀…お前また何かしたのか」

「なんでもないっすよ、ゆず先輩」

古賀はヘラヘラ笑っている。
『また』ってことは、常習犯ってことか。
自分が助かるために他人を犠牲にする奴だ、気を許さないようにしないと。
しかし眼鏡男も不運だったな…。
そう思って眼鏡男の方に振り返ると、なんと眼鏡男の遺体が消えていた。

「どうした、風早」

「死体が、ない…」

「野犬の死体か?」

「違う、野犬に噛まれて二人犠牲になったんだ」

最初に襲われた女子の遺体も消えていた。

「ああ…それは私も見たよ、遺体が消えていくところをな」

「!」

「不思議なことに、死んでしまうと跡形もなく消えてしまうんだ。それは野犬やグールも同じだ」

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