テキストサイズ

僕らのらんど

第1章 初めての戦い

その時、四つん這いになっていたトシヤがズルズルとほふく前進をした。

「トシヤ…!?」

「森の中に逃げるぞ…」

こんな時でさえ、僕たちを引っ張ってくれるトシヤ。
僕はもう半分諦めかけていたというのに…。

僕とまあやさんはトシヤを支えながら、茂みの中に入った。
でも安心はできない。
森の中に移動する姿を見られているのだ。
すぐに追いかけてくるに違いない。

「……今のうちに逃げろ……」

「は? 何言ってんだよ…トシヤを置いて逃げるわけないだろ! 毒は消せないけど、傷は治せるから待っ」

「だめだ…それは自分たちのために使え」

「!」

真剣な表情をしていたトシヤがフッと笑った。

「いいか、オレは今から試すんだよ…。ログアウトできないこの世界で死んだらどうなるのかって。もしかしたら元の世界に戻れるかもしれねーだろ?」

「トシヤ…」

まさかそんなことを考えていたなんて…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ