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僕らのらんど

第6章 デスゲーム

「アイツ…!」

今にも古賀に殴りかかりそうなオレをつくし先生が止める。

「今は耐えるのよ」

「…っ…」

わかってる。
オレたちは手を出さずに、アイツがデュラハンを倒すのを最後まで見届けなければならない。

「東堂さん、大丈夫?」

まり先生がゆず先輩を気遣う。
ゆず先輩の背中は小刻みに震えていた。

「大丈夫よ、ひなたくん。東堂さんのケアは私たちに任せて」

そう言うと、つくし先生とまり先生はゆず先輩を連れて車に乗り込んだ。

「ほ、ほんとに…彼一人で大丈夫なんですかね…」

やんすさんが古賀とデュラハンの戦いを見守る。

古賀がデュラハンのテリトリー内に入ると、首なし馬が一声嘶いた。顔がないのにどこから響いてるのか、いまいち不思議な光景だ。
デュラハンが剣を掲げて猛スピードで古賀に向かっていく。
古賀はスマホを操作し、何か呪文を唱えた。

「あっ…!」

古賀の足元に金色の魔法陣が浮かび上がる。
それは光の柱となって、古賀を包み込んだ。
それがシールドの役目をしているのか、デュラハンの攻撃が古賀に当たらない。
諦めたデュラハンは古賀から距離をとる。

「ひ、ひなたしゃん……あ、あれ!」

やんすさんが空に向かって指を差す。
天を仰ぐといつの間にか暗雲が垂れ込み、稲妻が走った。

「あれは…」

渦巻く雲の隙間から、髭を生やした大男が現れる。
体には鎧を、背中には赤いマントを翻し、まるでどこぞの映画に出てくるスーパーマンのようだ。

「あ、ああああれって…もももももしかして、北欧神話に出てくる、なんでしたっけ……ミュルミュル? ミョルニル!?」

やんすさんが興奮しながら叫ぶ。
大男はハンマーを握りしめていた。

「雷神トール…」

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