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僕らのらんど

第7章 真実

やっとゆず先輩に笑顔が戻ってきたかと思うと、

「ようやったな、ねーちゃん。あの童貞早漏男を女の武器で説得するなんて、女子高生もなかなかやるやないか」

「!?」

赤髪男が信じられないことを言ってきた。
隣ではゆず先輩が顔面蒼白で震えている。

「てめえっ…!!」

頭に血が昇ったオレは赤髪男に殴りかかろうとした。
しかしまたも赤髪男に防がれてしまう。

「いい加減にしろよ、てめえっ!!」

「やめなさい、ひなたくん!!」

再度拳を振り上げようとした時、つくし先生が赤髪男の前に出た。

「……なんでっ……」

「冷静になるのよ」

「冷静に…? なれるわけねーだろ!!」

意味わかんねぇ…
なんでつくし先生はこいつを庇うんだ?

「全く、虎生(とらお)もひなたくんを煽らないでちょうだい」

「……えっ……」

つくし先生の言葉に愕然とする。
『虎生』って…?

「この人、私の元恋人なのよ」

「えっ!?」

やんすさんとまり先生がびっくりする。

「そ、そうなんですか…?」

まり先生は複雑な表情をする。
無理もない、虎生にセクハラ発言を受けたからだ。

「黙っててごめんなさい。話を聞いた時にもしかしてとは思ったんだけど、確信が持てなかったから」

そう言うとつくし先生は床に散らばったティーカップの破片を拾い始めた。オレが虎生に殴りかかろうとした時にテーブルクロスを引っ張ったからだ。

「お客様、危ないので僕がやります」

いつのまに戻ってきたのか、クロさんが淡々とティーカップの破片を拾い始める。

「料理には少しお時間かかりますので、皆さんは二階の部屋でおくつろぎください」

そう言うとクロさんはまり先生とゆず先輩、オレとやんすさん、つくし先生と虎生にそれぞれ部屋の鍵を渡した。


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