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僕らのらんど

第7章 真実

「まあ…記憶がなくなるというバグも起きてますし、他になんらかのバグがあってもおかしくないかもしれませんね」

バグ…か。

「長話をしてしまいましたね。料理も冷めますし、温かいうちにお召し上がりください」

クロさんがにっこり笑って、オレにフォークを差し出してくる。
こうなったら食べないわけにはいかない。

「…いただきます」

ドキドキしながら料理を一口食べると、普通に野菜炒めの味がした。

「おいしい…」

「ありがとうございます」

オレは料理をじっくりと眺めた。
仮想世界でもこんなにリアルに味が再現できるものなんだな…。

「案内人がいないのでしたら、チュートリアルもまだですよね。僕が簡単に教えますね」

そうクロさんが言うと、

「その話、私たちにも聞かせてもらえますか」

突然、まり先生とゆず先輩が部屋に入ってきた。

「ゆ、ゆずしゃん、もう大丈夫なんですか?」

やんすさんが心配すると、ゆず先輩は頷いた。

「話は途中から聞かせてもらいました。この世界については、私たちにも知る権利がありますよね? 一緒に聞かせていただきます」

ゆず先輩はそう言うと、真っ直ぐクロさんを見た。
その瞳に迷いはない。

「わかりました、お二人ともお座りください」

ゆず先輩とまり先生がそれぞれ椅子に座る。

「まり先生、つくし先生は?」

「つくし先生は虎生さんと話をするからって、部屋から出てこなかったの」

「……」

だめだ、ますますつくし先生のことを疑ってしまう。

「この世界が仮想世界というのは、本当ですか?」

早速ゆず先輩が話を切り出す。

「そうですね、ここはVRMMO(仮想現実大規模多人数オンライン)の世界になります。なので僕たちのこの姿はゲームのアバターで、現実世界での身体はゲーム会社『SEED』が開発したカプセル装置の中に入っています」

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