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「暴力、だめ」

ふと見るとつくし先生の隣に、着物を着たおかっぱ姿の小さな女の子が立っていた。
少女の周りにはわずかに旋毛風が発生している。

「ヒイラギ、おおきに」

虎生が少女に声をかけると、つくし先生を庇うように前に出た。

「ここからはわいが説明する。それでも納得せえへんやつは自殺でもなんでもしてログアウトせえ！ ただし、自殺した場合は契約違反としてペナルティが課せられるがな」

「！」

また「ペナルティ」か…。
それを言えば抑止力になるとでも思ってるのか？

「すみません、そのペナルティとは一体なんでしょうか？」

また月影さんが質問する。

「ええ質問や。ペナルティっちゅうのはな…」

「虎生！」

つくし先生が虎生の言葉を遮る。

「それは今言うべきことじゃないわ！」

「…いいや、もう中途半端な説明じゃ、こいつらは納得せえへんのや。それにもう時間がない。こいつらが命をかけて戦うためにも、わいは真実を全て話す」

虎生の言葉で、会場がシンと静まり返った。
真実を全て話す…それはプレイヤー全員が一番知りたいことだった。

「せやな…まずはどうしてこのゲームが作られたのか話そうか」

すると黒いスーツを着た男たちが、パソコンやらプロジェクターやらをテキパキと準備し始めた。

「虎生、これはどういうこと？」

「こんなこともあろうかと、ダイブする前にデータを送ってもらったんや。言葉で説明するより、わかりやすいやろ」

部屋が暗くなると、白い壁に映像が写し出された。

「なにあれ……」

「きれい…」

そこには青色の光を放つ石が映し出されていた。
みんなそれに釘付けになる。

「10年前、ある地方に隕石が堕ちたんや。これはその隕石の中にあったものなんやけどな」

「隕石……」

急に話がＳＦチックになったな。

「この青い石には不思議な力があってな、生命体エネルギーを吸収するんや」

「！」