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僕らのらんど

第8章 集結

「そうやで、もうのんびり戦ってる場合じゃなくなったんや」

急に虎生の顔が、神妙な面持ちになった。

「実はな、わいがダイブする前に政府から発表があったんや。今から3時間後に、この辺りに隕石が落下するってな」

「!!」

一瞬、場がシンと静まり返った。

「う…うそでしょ!? そんなの落ちてきたら私たちどうなっちゃうの!?」

「いやだ、死にたくないっ!!」

「ちょっとまてよっ…隕石って、こないだ降ってきたのと同じやつか?」

虎生は首を横に振る。

「たぶん直撃したら、日本の真ん中はほぼ壊滅やろな」

「!!」

「あと3時間って、もう避難間に合わねぇじゃねーか! ペナルティなんてどうでもいいから早くここから出してくれよ!!」

「そうよ! このまま家族と会えずに死ぬなんて絶対嫌よ!」

プレイヤーたちがわめきだした。
中には二階の窓から飛び降りようとする人もいて、黒いスーツを着た男たちが止めていた。

「待てや、お前ら!! ここにおれば安全やゆうたやろ!? それに生命体エネルギーが100パーセントになれば完全にバリアできるんや! 隕石の直撃から免れるんやで!!」

虎生が声を張り上げてそう言うと、みんな我に返ったのか大人しくなった。
だけど今度は泣き出すプレイヤーがいた。

「会いたいっ…パパとママに…会いたいよぉ」

「私もこのまま彼氏に会えなくなるのやだぁ…」

友達同士で参加したのか、二人の若い女性が抱き合って泣いていた。

「……っ……」

みんなどうにもできない気持ちを抱えて、悲痛な面持ちで空(くう)を見つめる。
そんな姿を見て、オレはある決心をした。

「あのさ……そろそろプレイヤーたちを自由にさせてやってもいいんじゃないのか? 今までずっと生命体エネルギーを取ってきたんだろ?」

死神が現れた時、微かにオレの力が抜けたような気がした。あれはきっと生命体エネルギーを取られたせいだったんだ。

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