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僕らのらんど

第9章 それぞれの想い

「あ~あ、こんな時ダンジョンを脱出する呪文があればなぁ」

元来た道をまた歩いて戻るってのがめんどくさい。

「も~アキラくんってば文句ばっかり言わないの! 力をつけないとレベル90のモンスターは倒せないわよ?」

「はいはい。てか僕は僧侶だから、倒すのは月影に任せるわ」

「俺ですか? いいですよ、任せてください! 皆さんを守るのが俺の役目ですから!」

「も~月影くん、そうやってアキラくんを甘やかさないでよね! 僧侶は一番狙われやすいんだから」

そんな会話をしていると、ゆずさんがクスクスッと笑った。

「3人とも仲がいいのだな」

「え? そう?」

「羨ましいな…」

ゆずさんがちょっと寂しそうな顔をする。
だから何か別の話題を振ろうとしたら、

「ゆずさんの好きな食べ物はなんですか?」

唐突に月影がゆずさんに質問した。

「えっ…あっ…す、好きな食べ物はっ…バナナ、かな…」

ゆずさんが慌てて答えると、

「バナナですか! 俺も大好きです!」

なんて月影が言うもんだから、ゆずさんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。月影なりに気を使ったんだろうが、オチのない会話で話が続かない。
でもそれでもゆずさんは嬉しそうだった。

「アキラくん、アキラくん」

クイクイと僕の袖をまあやさんが引っ張る。

「しばらく二人で会話させてあげましょ」

「へ? なんで?」

「も~鈍いわね! ゆずちゃん、ずっと月影くんのこと目で追ってたのよ。つまり月影くんのことが好きなの」

「マジか…」

どうなんだろうな…。
ゆずさんはめっちゃ喜んでるけど、月影はたぶん仲間としてしか接しないだろうな。
なぜなら奴はホモ……。

「きゃああああああっ!!」

その時、女の子の悲鳴が聞こえた。

「下からよ!」

僕たちは急いで地下3階への階段を降りた。
どんなモンスターがいるかわからないが、このまま無視するわけにはいかない。


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