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僕らのらんど

第9章 それぞれの想い

きっと現実世界に戻ったら、まあやさんは彼氏のもとへ行くだろう。
そしたら僕は…。

「…ねえ、まあやさん。もしログアウトできなかったらどうする?」

「え……」

まあやさんは少し考えたあと、フッと笑った。

「そうね…ここに住むのもいいかもしれないわね」

「!」

「でもモンスターと戦い続けるのはちょっと…。だからやっぱり、現実世界に戻りたいかな」

「……」

そんな現実世界は今は大変なことになっている。

「もしかしたら隕石が落ちてきて死ぬかもしれないよ? それでも現実世界に戻りたいの?」

「隕石…そうよね、死ぬかもしれないのよね…。なんだか本当に、どっちが現実かわからなくなってきちゃったね…」

「…うん…」

隕石が落ちてくるなんて、非現実過ぎてピンとこないもんな…。

「アキラくんは現実世界に戻りたくないの?」

「えっ…」

「なんだか帰りたくないみたい」

「……そんなことはっ……」

まあやさんが珍しく僕をジッと見つめてくる。
こんなに見つめられたのは今までなかったから、僕の心臓はドキドキしっぱなしだった。

「フフッ、大丈夫よ。現実世界に戻ったら、また沢山話しましょ? みんなと連絡交換してたまに会ったりしてね……あ、生きてたらの話だけど」

「まあやさん……」

僕は泣きそうになった。
たぶん僕はずっと一人だった。
あのせんべい布団のある部屋で、ずっと一人で過ごしてきた。

「ありがとう、まあやさん。じゃあ現実世界に戻ったら沢山メールする! 毎日電話する!」

「毎日はちょっと…」

「じゃあ一日おきで!」

「一ヶ月に一回で十分じゃない?」

「え~!」

僕とまあやさんは顔を見合わせ、笑った。
そして最後に夜空に咲いたしだれ花火を一緒に見上げた。

沢山の火花がパラパラと落ちてくる。
それはまるで弾けた隕石の欠片のように見えた。

「……そうだ。あのブルーストーンの力で、落ちてくる隕石、砕けないかな……」

僕がそう呟くと、まあやさんが思いついたように「それよ!」と叫んだ。


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