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僕らのらんど

第9章 それぞれの想い

そう言われて一瞬戸惑ったけど、でも僕とまあやさんはすぐに同じ気持ちになった。

まあやさんの震える手が僕の手を握りしめる。
だから僕もギュッと握り返した。

「それでも、皆が助かるのなら」

どっちにしろ、助からないかもしれない。
それならやれるだけのことはしたい。

僕たちは最後まで戦い続けるのみ。
……愛する人と、大切な仲間と。

翌日、その話は全プレイヤーに告げられた。
みんな「命を落とすかもしれない」ということに最初は戸惑っていたけど、反対する人はいなかった。

「わいは今からログアウトしてレーザーの準備に取りかかる。安心してや、代わりに助っ人を何人か送るさかい」

そう言って虎生がログアウトするとすぐに、新たなプレイヤーがログインしてきた。

「私は陸上自衛隊の天音だ。よろしく」

天音さんは女優顔負けの美人だった。
すぐに7人の部下を引き連れてモンスターの討伐に参戦した。戦闘のプロなだけあって、彼らは着々とレベルを上げていく。

「この調子なら、すぐに生命体エネルギーがたまりそうね!」

「うん。自衛隊の人たち、めっちゃ頑張ってるしね。どうする? 僕たちもレベル上がってきたし、そろそろレベル90のモンスターを倒しにいってみる?」

僕とまあやさんはレストランで一緒に食事をしながらこれからのことを話し合っていた。

なんだかあれから、戦闘以外はまあやさんと二人きりになることが多い。
月影がゆずさんとミーカさんと黒魔女さんに毎回振り回されてるってのもあるけど。

でもみんな、必ず誰かと過ごしている。
きっとログアウトしてもしなくても、死ぬことからは逃れられないから…。
その時がくるまで、人肌を感じていたいから。

だけどれんじだけはいつ見ても一人だった。
みんなより遅く帰ってきては虚ろな目をしながら食事をし、睡眠をとる。

そしてその様子をいつも影から見守っているアカツキちゃん。
もうそんな二人を見ていられないって思った矢先、アカツキちゃんがれんじに近づいた。

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