テキストサイズ

僕らのらんど

第9章 それぞれの想い

「れんじくん…私からもお願いするわ。アカツキちゃんを一人にしないで」

まあやさんもれんじにお願いする。
だから僕も…

「れんじはどう思ってるかわかんないけどさっ…、僕にとってもれんじは仲間だからな! だから、みんなで一緒に帰るんだからな!!」

僕もれんじに訴えた。
今まできつく当たられたけど、でもれんじのことは嫌いになれなかった。
僕と同じ、不器用な奴だってわかったから。
それにヒロキさんがこの場にいたら、きっと僕と同じ事を言ってるはずだ。

「…ちっ…。どいつもこいつも勝手なこと言いやがって…」

れんじはいつものごとく憎まれ口を叩く。
そして目の前で泣くアカツキちゃんの頭をそっとなでると、

「泣くな、アカツキ……お前は笑ってる方がいい」

優しい口調で話し始めた。

「正直、俺はお前に拒絶されるのがこわかった。だから自分が傷つく前に離れようと思った」

「…れんじっ…」

アカツキちゃんは首を横に振る。

「俺は人殺しのクズだ。どんな理由があろうとやってはいけないことをやってしまった。だからこんな俺といたらアカツキを傷つけてしまうって思った。俺はお前が傷つく姿を見たくない……」

「あたしは誰に何を言われようが傷つかないよ…! それよりもれんじがそばにいない方がずっと何百倍も辛いんだからっ…!」

「……っ……」

あんなに誰も寄せ付けないオーラを纏っていたれんじが、今は弱々しく見える。
きっと自分をクズだと思うことで、気持ちを保ってきたんだろう。

「……正直どうしたらいいかわからないんだ。俺はお前のそばに……いてもいいのか……?」

すっかり弱々しくなってしまったれんじを、アカツキちゃんはギュッと抱きしめる。

「そばにいて! れんじはあたしが守るから…! れんじを傷つけるやつはあたしがぶっとばしてやるんだからねっ…!」

「……アカツキっ……」

アカツキちゃんの力強い想いが、れんじの心を動かした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ