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僕らのらんど

第10章 最終決戦

「みんな、気を付けて! 黒い触手が地面を這って襲ってくるわよ!」

「このぉぉぉぉ!」

黒魔女さんが剣で触手を斬り刻む。
が、すぐに再生するため、なかなかネクロマンサーに近づけない。

「このままでは埒があかないな!」

戦士の貴史さんが強行突破にでる。
触手を素早く斬り刻むと、ごり押しで真っ正面からネクロマンサーに攻撃を仕掛けた。

「やった! ……あっ!?」

しかし次の瞬間、ネクロマンサーの体から複数の死霊がブワッと吹き出し、貴史さんの体に噛みついた。

「うわあああああっ!!」

「貴史っ…!!」

まりさんが婚約者の名を叫ぶ。
貴史さんの体はそのまま地面に叩きつけられた。

「貴史さんっ…!!」

僕が急いで貴史さんを回復するも、HPの数値があがらない。それどころかどんどん減っていく。

「まさか呪いをかけられたんじゃ…」

黒魔女さんが呟く。

「……ま……り……」

貴史さんがまりさんに向かって手を伸ばす。

「…貴史っ…!」

まりさんはその手を受け止めた。

「……ごめんな……守って……やれなくて……」

「貴史っ……」

まりさんは泣きそうになりながら貴史さんの手を強く握った。

僕は他に何かできることはないかと色々試してみたが、やはりHP減少を止めることができなかった。

「くそっ…呪いを解く呪文もアイテムもないなんてっ…!」

そしてついに貴史さんのHPが0になってしまった。
貴史さんの体は光に包まれて消えていく。

「……貴史っ……ごめんねっ……」

まりさんが泣いていた。
その涙を見ると胸が痛む。

「彼は頑張ったよ……きっと今頃、現実世界で目を覚ましてるよ……」

ミーカさんがまりさんを励ます。

「……うん……そうだよね……」

まりさんもそう答えるが、貴史さんの死はみんなの戦意を少しずつ失わせた。


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