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僕らのらんど

第10章 最終決戦

姿はまりさんだけど、まりさんではない。
その神々しい姿に、さすがのネクロマンサーも怯えているように見えた。

まりさんは刀を上段で構えると、

「浄化!!」

と叫びながら、ネクロマンサーを一刀両断した。

《ギャアアアアッ!!》

強い光を浴びて、ネクロマンサーは一瞬で消滅した。
死霊も黒い触手も全て消え去った。

「……や……やった……倒せた! すごいっ……まりさん、すごいよ!!」

あまりに一瞬な出来事だったので呆然としてしまった僕だけど、すぐに我に返ってまりさんに駆けつけた。

「……」

まりさんがこっちにゆっくり振り返る。
その瞬間、何かがまりさんの体から抜けたような気がした。

「……イザナギ……」

ボソッと兎太郎が呟く。
兎太郎にはあれがなんだったのか見えたようだった。

ドサッ

「まりさん!?」

力を使いすぎたのか、まりさんが倒れてしまった。

「今、回復をっ……」

そう思ったけど、まりさんはすでに息を引き取っていた。

「……えっ……嘘だろ……」

まりさんの体が光に包まれる。

「……まりさん!!」

まりさんの体を掴むも、もう光の欠片となって消えてしまった。

「……なんでっ……倒したのに……!!」

「……まりしゃんっ……」

まりさんの姿を見たやんすさんが膝から崩れ落ちた。

「まりしゃんはっ……自分の命と引き換えに神様を召喚したんですっ……命をかけて戦ったんですよ! ううっ……うわああああっ!!」

「……っ……」

やんすさんが頭を地面に擦りつけながら号泣した。

「……そんなこと……」

知らなかった。
でも知ってても…僕は止められなかったかもしれない。

「まりさんっ…!」

まあやさんも黒魔女さんもミーカさんもみんな泣いていた。

この戦いで貴史さんとまりさんが死んだ。
しかしそれは本当の死じゃない。
仮想世界から現実世界へ戻るだけ…。

だけどなんだろう、この空虚感は…。
トシヤとヒロキさんが死んでいった時のと似ている。


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