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僕らのらんど

第10章 最終決戦

まあやさんの目からは涙が滲み出る。
僕はそれを見て少し嫉妬した。

「月影…ちょっと回復魔法かけるぞ」

僕は月影の両目にヒーリングをかけ始めた。

月影はまあやさんを守った。
でもそのせいで月影は両目を怪我してしまった。
だからまあやさんは自分が怪我をさせてしまったと泣いていたに違いない。

もしかしてさっき「来ないで」って言ったのは、二人の距離が近づいたからかもしれない。

「…っ…」

こんな時にそんなこと考えて嫉妬するなんて最低だな僕…。
なんで僕はまあやさんを守らなかったんだろう…。

「アキラさん…もう大丈夫ですよ。少し見えてきました」

月影がゆっくりと目を開ける。

「よかったっ……」

涙を流すまあやさんを月影が優しい眼差しで見つめる。
それを見て僕はハァッと重いため息をついた。

「アキラさん、ありがとうございます!」

「アキラくん、ありがとうっ…」

すると緊張の糸が途切れたのか、まあやさんがフッと気を失った。

「まあやさん!」

倒れそうになるまあやさんを僕よりも早く抱きとめる月影。

「少し寝かせてあげましょう」

月影はまあやさんを横抱きにして、自分のロングコートの上に寝かせてあげた。

「月影…ちょっと話さないか」

「……ええ」

僕たちは少し離れた場所まで歩いた。
月影も今僕がどんな話をしようとしているかわかっているようだった。

「すみません、アキラさん」

月影が先に謝ってくる。

「は? なんで謝るんだよっ…」

「俺はまあやさんのことが好きです」

「!」

いきなりど直球でそう言われて、僕はかなり動揺した。

「ぼ、僕だってまあやさんのことが…」

「ええ、わかってます。だから俺はアキラさんと対等になりたいと思ってました」

「…っ…」

今まで月影は誰も好きにならないと思ってた。
むしろ男が好きなのかとさえ思ってた。

「なんでまあやさんなんだよっ…」

「たぶんずっと一緒に旅をしてきたからだと思います」


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