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僕らのらんど

第11章 願い、そして…

その時、何かがこっちに歩いてくる気配を感じた。

「──あれ?」

姿を現したのは迷彩服を着たヒロキさんだった。

「ヒロキさんっ…!」

「ん? なんでぼくの名前知ってるんですか?」

「!」

ヒロキさん、僕のこと覚えてない…?

「なにあんた、アキラの知り合い?」

トシヤがヒロキさんに話しかける。

「いや、今初めて君たちと会ったんだけど……なんだろう。君が持ってるその拳銃、なんだかどこかで見たことあるような気がして…」

「!」

「それになんだかぼくには大切な仲間が二人いたような気がする…」

そう言うとヒロキさんはホロリと一粒涙を流した。

「ヒロキさんっ……」

ヒロキさんもトシヤ同様、今までのこと覚えてないみたいだ。でもこの拳銃の音を聞いて、ヒロキさんは僕たちの前に現れた。
ヒロキさんの潜在意識の中には、れんじとアカツキちゃんの記憶が少しだけ残ってるんだ。

「ヒロキさん、お願いです。この拳銃を使って、僕たちと一緒にモンスターを倒してくれませんか?」

「…モンスターを? いいね、面白そうだ」

そう言うと、ヒロキさんはれんじの拳銃を構えた。
モンスターが出現すると、一発で倒してくれた。

「すげえな、あんた!」

「いや、すごいのはこの拳銃ですよ。アキラさんは知人から貰ったって言ってたけど、その人はすごい強い人だったんだろうなって思いますね」

──なあ、聞こえるか? れんじ…。
ヒロキさんがお前の拳銃使って戦ってるぞ。
不思議だよな、僕のことは全然覚えてないのにさ…。
やっぱり仲間の絆は深かったんだよ…。

僕たちは順調にモンスターを倒していった。
そして森を歩いていると、一軒のログハウスを見つけた。

「まさかっ……そらじじい……月影っ!!」

僕は急いで中に入って確認した。
でもログハウスの中にはやっぱり誰もいなかった。

「おい、アキラ。勝手に人んち入っていいのかよ……ってなにお前、泣いてんの!?」

僕はログハウスの床に額をつけて泣いていた。


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