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僕らのらんど

第11章 願い、そして…

「うっ……あああっく、いや、だっ……いやだあああああっ!!」

嗚咽を漏らしながら泣く僕を、トシヤとヒロキさんは黙って見ているようだった。

「まあやさんっ……月影っ、そらじじい……れんじ……アカツキちゃんっ……!!」

僕は何度もみんなの名前を呼ぶ。
呼んだところで彼らが姿を現さないことはわかってるけど…。

「僕も……現実に……戻りたかった!!
なんでっ……なんで……!!」

ログハウスの床を拳で叩く。
気づけば叩きすぎて、血が滲んでいた。

ちょうど今と同じような時、まあやさんは僕を止めてくれた。

まあやさんに会いたいっ…。
「アキラくん」って僕の名前を呼んでほしい。

約束したのにっ…。
みんなと必ず生きて現実世界に戻るって約束したのにっ……!

「なんで僕だけっ……戻れないんだよおおおおおおおおおっ!!」

気づけば僕はソファーで眠っていた。
トシヤかヒロキさんどちらかが掛けてくれたであろう毛布が温かかった。

「あ、起きました? コーヒー飲みます?」

ヒロキさんがキッチンから声をかけてくれる。

「……うん」

ふとここで月影が紅茶とクッキーを出してくれたことを思い出した。

「……クッキーあるかな?」

「クッキーですか? ん~…あ、ありました」

ヒロキさんはコーヒーとクッキーをテーブルに運んでくれた。

「疲れた時は甘いものですよね」

何気にそう言ったヒロキさんの言葉が月影の言葉とダブる。

「ははっ……そうだよな」

僕はまた泣きそうになるのを我慢しながらコーヒーを飲んだ。

「トシヤは?」

「二階の部屋で寝てますよ」

「ヒロキさんは寝ないの?」

「ぼくはもう少し、ここにいます」

「そっか…」

僕は少しだけほっとした。
こんな時、一人じゃなくてよかったと心の底から思った。

「あの…さっき現実世界に戻りたいって言ってましたけど、あれはどういう意味なんですか?」

「!」

「ここが、現実世界じゃないんですか?」

ヒロキさんは真剣な表情で僕をまっすぐ見た。



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