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僕らのらんど

第11章 願い、そして…

「ははっ……兎太郎がプレイヤーで、僕がNPCだったとか……笑えるっ……」

ついに僕は認めてしまった、自分がNPCだということを。

「アキラさん……」

ヒロキさんが悲しい表情で僕を見る。

トシヤもヒロキさんも僕もみんなNPCだった。
SEEDに作られたキャラクターだった。

「なんでっ……」

こんなに僕は『生きてる』じゃないか!
この感情も思考も、全て作られたものだっていうのか!?

仲間やまあやさんに対する想いも、計算されたものだっていうのか?

信じたくないっ…。
僕は生きてると、信じたい。
ちゃんと自分で考えて、自分の意思で動いていると信じたい。

『───……さん!』

その時、また現実世界での声が聞こえてきた。

『───アキラさん!』

この声は月影!!

『───アキラさん! どこにいるんですか! 早くっ…こっちに戻ってきてください!』

「月影っ……僕だって戻りたいけど、戻れないんだよっ!!」

『───今、アキラさんの声が?』

『───えっ、嘘っ……アキラくん!?』

「まあやさんっ……」

『───そこにいるのね? アキラくん!』

「まあやさんっ!!」

僕は思わず空間に手を伸ばした。
そんなことしたって、届くはずないのに。

『───アキラくんっ……私、今アキラくんの姿が見えるよ! ほら、手を伸ばしてくれてるでしょ?』

「!!」

僕は目を凝らして空間をジッと見つめてみた。
するとボンヤリと、まあやさんと月影の姿が見えるようになった。

「見えるっ……見えるよ!! まあやさん、月影っ……!!」

僕は更に腕を伸ばした。
まあやさんも必死に腕を伸ばしてくれる。

あと少し…。
あと少しで指先が触れる。

その時、

───ドオオオオオンッ!!

凄まじい爆発音が聞こえ、まあやさんの映像も声も聞こえなくなった。

「まあやさん!! 月影!!」

一体何がっ……
まさか、隕石が衝突した!?


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