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僕らのらんど

第2章 弟子と師匠

ゲームではコマンドひとつでモンスターを倒せてしまう。倒されたモンスターは泡となって消えてアイテムやお金を落としていく。だから殺したという感覚はなかった。

でも今いるこの現実は、ゲームでもリアルと同じなんだ。
生きているという感覚がある。
きっとゴブリンを何度も殴ったら、血が吹き出してグロテスクな光景を見ることになるだろう。

「………」

僕は木の棒を捨てた。
ゴブリンを殺したところで、トシヤが生き返るわけでもない。いや──それは建前で、ただ単に生き物を殺す勇気がないからだ。

「アキラくん!」

まあやさんがこっちに走ってきた。
まだ気絶しているだけのゴブリンを見てホッとする。

「とりあえずここは危険だから、彼の言う『安全な場所』に行ってみない?」

僕はすぐに頷いた。
安全な場所があるなら、すぐに休みたいと思った。



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