氷華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
トンジュの前には無数の薪が転がっていた。先刻響き渡ったのは、トンジュが拾ってきた枯れ枝を落とした音だったのだ。
サヨンは迂闊にもまだ自分自身の扇情的な姿に気づいていなかった。上半身は胸に布を巻いただけのあれらもない格好なのに、男の眼を意識することも忘れていた。
小柄で痩せている割に豊かな胸のふくらみが胸に巻いた布を押し上げ、上からは眩しいほどに白いつややかな丸みや谷間が覗いている。
「何をしているのですか?」
永遠にも思える一瞬が過ぎ去った後、トンジュが茫然とした面持ちで言った。
その声が微妙に掠れている。
「えっ」
トンジュが声を発したことによって、サヨンの意識も現実に戻ってきた。
「あ、これは」
サヨンは改めて自分の格好を知り、赤面した。
「ごめんなさい。あまりに熱かったものだから、服を脱げば治るかと思って」
サヨンは慌てて側に置いてあった下着を拾おうとした。
「ここが山奥の森の中だから良いようなものを、人の住んでいる場所だったら、俺以外の男の眼に触れさせてしまうことになりますよ?」
ふいに男の声が間近で聞こえ、サヨンは弾かれたように面を上げた。
「どうして隠そうとするんですか?」
「え、何を言って―」
サヨンは言いかけて、言葉を失った。
トンジュの眼が欲望にぎらつき、射貫くように胸のふくらみに注がれている。
本能的に彼女は両手を交差させて男の不躾な視線から逃れようとした。
次の瞬間、トンジュが飛びかかってきて、サヨンはその場に荒々しく押し倒された。
「な、何をするの!?」
サヨンは愕きのあまり、声も出ない。
トンジュはサヨンの上から覆い被さり、彼女の頭の両脇に手をついた。
「あなたが悪いんですよ。そんな挑発的な姿で俺を誘うから」
「何を言っているのか判らないの」
サヨンは怯えた眼でトンジュを見上げた。
「トンジュがあの時、帰ってくると知っていたら、服を着ていたわ。そのことで怒っているのなら、謝るから許して」
サヨンは迂闊にもまだ自分自身の扇情的な姿に気づいていなかった。上半身は胸に布を巻いただけのあれらもない格好なのに、男の眼を意識することも忘れていた。
小柄で痩せている割に豊かな胸のふくらみが胸に巻いた布を押し上げ、上からは眩しいほどに白いつややかな丸みや谷間が覗いている。
「何をしているのですか?」
永遠にも思える一瞬が過ぎ去った後、トンジュが茫然とした面持ちで言った。
その声が微妙に掠れている。
「えっ」
トンジュが声を発したことによって、サヨンの意識も現実に戻ってきた。
「あ、これは」
サヨンは改めて自分の格好を知り、赤面した。
「ごめんなさい。あまりに熱かったものだから、服を脱げば治るかと思って」
サヨンは慌てて側に置いてあった下着を拾おうとした。
「ここが山奥の森の中だから良いようなものを、人の住んでいる場所だったら、俺以外の男の眼に触れさせてしまうことになりますよ?」
ふいに男の声が間近で聞こえ、サヨンは弾かれたように面を上げた。
「どうして隠そうとするんですか?」
「え、何を言って―」
サヨンは言いかけて、言葉を失った。
トンジュの眼が欲望にぎらつき、射貫くように胸のふくらみに注がれている。
本能的に彼女は両手を交差させて男の不躾な視線から逃れようとした。
次の瞬間、トンジュが飛びかかってきて、サヨンはその場に荒々しく押し倒された。
「な、何をするの!?」
サヨンは愕きのあまり、声も出ない。
トンジュはサヨンの上から覆い被さり、彼女の頭の両脇に手をついた。
「あなたが悪いんですよ。そんな挑発的な姿で俺を誘うから」
「何を言っているのか判らないの」
サヨンは怯えた眼でトンジュを見上げた。
「トンジュがあの時、帰ってくると知っていたら、服を着ていたわ。そのことで怒っているのなら、謝るから許して」