氷華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
「怒るどころか、お礼を言いたいくらいです。こんな良いものを早々に見せて貰えるとは思っていなかったんだ」
トンジュは熱に浮かされたように呟き、そろりと手を伸ばした。
サヨンは初め、彼が何をしようとしているのか全く理解できていなかった。が、伸びてきた手が乱暴に胸許をまさぐり始めると、悲痛な声を上げた。
「何をするの? 止めて。止めてよ」
乳房の上の部分は既にはっきりと露出している。ふくよかな胸の蕾がギリギリ見えるか見えないかのきわどさだ。トンジュの大きな手はしきりにそこを撫でていた。
「俺があなたを何のために連れ出したか、まだ判らないんですか?」
トンジュの瞳が冷たく光った。
あの眼、蛇のように底光りする眼に見つめられると、サヨンは蛇に睨まれた蛙のように身動きできなくなってしまう。
―怖い。
サヨンは身を震わせた。
「まさか」
絶望のあまり気絶しそうになりながらも、サヨンは何とか持ち堪えようとした。
トンジュがニヤリと口の端を引き上げる。
「今になって、やっと気づきましたか。本当に世間知らずというか、呑気な女ですね。男が何の見返りもなく女を助けたりするものですか。俺はあなたを自分のものにするために、ここまで連れてきたんですよ」
「私は物じゃない。そんなに簡単にあなたの所有物になったりはしないわ」
あまりの言い草に言い返すと、トンジュは馬鹿にしたような笑みを返してきた。
「そんな強情をいつまで張っていられますかね。言ったでしょう、女を大人しくさせる方法は色々あると」
トンジュは歌うように言いながら、サヨンの胸に巻いた布に手をかけた。
「止めて、お願いだから、こんなこと止めて。トンジュ!」
サヨンは必死になって抗った。
その間にも抵抗空しく、布はするすると音を立てて解かれてゆく。
「いやっ、いやーっ」
身を起こそうとする度に、乱暴に押し戻され、無情にも両手を持ち上げた形で上から押さえつけられた。
「トンジュ、トンジュ。私、いやなの。こんなことはいやなの。お願い、許して」
トンジュは熱に浮かされたように呟き、そろりと手を伸ばした。
サヨンは初め、彼が何をしようとしているのか全く理解できていなかった。が、伸びてきた手が乱暴に胸許をまさぐり始めると、悲痛な声を上げた。
「何をするの? 止めて。止めてよ」
乳房の上の部分は既にはっきりと露出している。ふくよかな胸の蕾がギリギリ見えるか見えないかのきわどさだ。トンジュの大きな手はしきりにそこを撫でていた。
「俺があなたを何のために連れ出したか、まだ判らないんですか?」
トンジュの瞳が冷たく光った。
あの眼、蛇のように底光りする眼に見つめられると、サヨンは蛇に睨まれた蛙のように身動きできなくなってしまう。
―怖い。
サヨンは身を震わせた。
「まさか」
絶望のあまり気絶しそうになりながらも、サヨンは何とか持ち堪えようとした。
トンジュがニヤリと口の端を引き上げる。
「今になって、やっと気づきましたか。本当に世間知らずというか、呑気な女ですね。男が何の見返りもなく女を助けたりするものですか。俺はあなたを自分のものにするために、ここまで連れてきたんですよ」
「私は物じゃない。そんなに簡単にあなたの所有物になったりはしないわ」
あまりの言い草に言い返すと、トンジュは馬鹿にしたような笑みを返してきた。
「そんな強情をいつまで張っていられますかね。言ったでしょう、女を大人しくさせる方法は色々あると」
トンジュは歌うように言いながら、サヨンの胸に巻いた布に手をかけた。
「止めて、お願いだから、こんなこと止めて。トンジュ!」
サヨンは必死になって抗った。
その間にも抵抗空しく、布はするすると音を立てて解かれてゆく。
「いやっ、いやーっ」
身を起こそうとする度に、乱暴に押し戻され、無情にも両手を持ち上げた形で上から押さえつけられた。
「トンジュ、トンジュ。私、いやなの。こんなことはいやなの。お願い、許して」