
氷華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
脚が痛い、酷く痛むの」
すすり泣きの合間に、サヨンはやっとの想いで言った。
「ちょっと見せて下さい」
チマの下を覗こうとする男の仕草に、サヨンはピクリと身を震わせた。
「や、止めて」
トンジュが愕いたようにサヨンを見た。
「お願いだから、許して」
サヨンは同じ台詞を繰り返しながら首を振り続けた。
トンジュが吐息をついた。
「もう何もしやしませんよ。俺だって鬼畜じゃない。怪我人相手に無理強いはしませんから、安心して下さい」
幾ら優しく言い聞かせても、サヨンは怯え泣きじゃくるばかりだ。
トンジュは弱り切ったように頭をかいた。
「良いですか、本当に何もしませんから、少しだけ脚を見せて」
嫌がるサヨンを無視して、トンジュはチマの裾を少しだけ持ち上げた。
サヨンの右脚の状態はかなり悪化している。どす黒く変色した患部は熱を持ち、少し触れただけでも相当痛んだ。
サヨンは片膝をついて、右脚を地面に投げ出している。チマを少し捲っただけなのに、両脚の奥―下履きを身につけていない秘所の淡い翳りがしっかりと見えた。
トンジュは知らず、その愛らしくもいじらい翳りに見惚れてしまいそうになる。が、流石に時機がふさわしくないと視線を剝がした。もっとも、彼を誘ってやまない魅力的なその場所から視線を離すのは、かなり意思の力を総動員しなければならなかったけれど。
サヨンはトンジュの熱をはらんだ視線には気づかず、ただ痛みに耐えていた。
「かなり腫れてきてますね」
トンジュはサヨンを軽々と抱き上げた。
サヨンもまた抵抗する力は殆ど残っていなかった。ただトンジュになされるままに身を預けるしかないのだ。
トンジュはサヨンを慎重に天幕まで運び、そっと敷物の上に降ろした。
「走ったりするから、こんなことになるんですよ」
トンジュは駄々っ子を諫める口調で言い、サヨンの乱れた髪を撫でつけた。
―あなたが酷いことをしようとするから、逃げるために走ったのだ。
サヨンはそう言い返したかった。が、今はもう口を開くのも億劫だ。
すすり泣きの合間に、サヨンはやっとの想いで言った。
「ちょっと見せて下さい」
チマの下を覗こうとする男の仕草に、サヨンはピクリと身を震わせた。
「や、止めて」
トンジュが愕いたようにサヨンを見た。
「お願いだから、許して」
サヨンは同じ台詞を繰り返しながら首を振り続けた。
トンジュが吐息をついた。
「もう何もしやしませんよ。俺だって鬼畜じゃない。怪我人相手に無理強いはしませんから、安心して下さい」
幾ら優しく言い聞かせても、サヨンは怯え泣きじゃくるばかりだ。
トンジュは弱り切ったように頭をかいた。
「良いですか、本当に何もしませんから、少しだけ脚を見せて」
嫌がるサヨンを無視して、トンジュはチマの裾を少しだけ持ち上げた。
サヨンの右脚の状態はかなり悪化している。どす黒く変色した患部は熱を持ち、少し触れただけでも相当痛んだ。
サヨンは片膝をついて、右脚を地面に投げ出している。チマを少し捲っただけなのに、両脚の奥―下履きを身につけていない秘所の淡い翳りがしっかりと見えた。
トンジュは知らず、その愛らしくもいじらい翳りに見惚れてしまいそうになる。が、流石に時機がふさわしくないと視線を剝がした。もっとも、彼を誘ってやまない魅力的なその場所から視線を離すのは、かなり意思の力を総動員しなければならなかったけれど。
サヨンはトンジュの熱をはらんだ視線には気づかず、ただ痛みに耐えていた。
「かなり腫れてきてますね」
トンジュはサヨンを軽々と抱き上げた。
サヨンもまた抵抗する力は殆ど残っていなかった。ただトンジュになされるままに身を預けるしかないのだ。
トンジュはサヨンを慎重に天幕まで運び、そっと敷物の上に降ろした。
「走ったりするから、こんなことになるんですよ」
トンジュは駄々っ子を諫める口調で言い、サヨンの乱れた髪を撫でつけた。
―あなたが酷いことをしようとするから、逃げるために走ったのだ。
サヨンはそう言い返したかった。が、今はもう口を開くのも億劫だ。
