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氷華~恋は駆け落ちから始まって~

第4章 涙月

「ああっ」
 刹那、男の指の触れた箇所から妖しい震えが走り、身体全体に漣のようにひろがる。それは全く馴染みのない不思議な感覚であった。まるで弱い雷土(いかづち)が全身を貫いたように快とも不快とも判別のつかないものだ。
 サヨンはまだその得体の知れない感覚の余韻に身体を震わせながら、涙を零した。
「ほら、見てごらん」
 トンジュに促され、サヨンは自分の身体を見る。波打つ大きな乳房の突起は二つともつんと上を向いていた。
「サヨンの身体は、今、凄く敏感になっている。俺に口づけられたり、乳房を吸われたりしている中に、お前の身体が反応して感じやすくなったんだ」
 今度は男の顔が胸に覆い被さり、チュッと先端を吸われる。
「あー」
 また例の妙な感覚が全身を駆け抜け、身体がぴくぴくと跳ねた。サヨンは口から恥ずかしい声が洩れ出るのを必死に堪えた。
「どうだ、気持ち良いだろう? これから俺に抱かれることによって、お前の身体はどんどん感じやすくなっていく。俺なら、お前を毎夜、極楽にいるような心地にさせてやれるぞ?」
 言いながら、またサヨンの胸の先を摘んで捏ねる。触れられる度に、身体が妖しくざわめき、変な声が出るのを抑えきれない。
「我慢することはないんだ。声が出るのはサヨンが感じている証拠だから、恥ずかしがらずに声を出してごらん。俺の愛撫に可愛らしく啼いているお前を見たい」
 サヨンの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「どうしてトンジュはそんな酷いことを言うの? 私はいや。こんなことをされるのはいやなのに」
「最初は抵抗があっても、すぐに慣れるさ。さあ、おいで。続きをしよう」
 両腕をひろげられ、サヨンは烈しく首を振った。
「絶対にいや」
 トンジュの眉間に青筋が浮かんだ。
「良い子だから、おいで。今も気持ち良かったんだろう? これからもっと気持ちよくなれるぞ」
トンジュは、泣いて嫌がるサヨンを険のある眼で見つめた。
「俺を怒らせない方が良いと言ったはずだ。今ならできるだけ苦痛を与えずに抱いてやるが、言うことをきかなければ、酷い抱き方をするぞ、それでも良いのか?」

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