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恋人⇆セフレ

第8章 したい、させたい




「無防備に他の男のところに送り出せませんから」



真剣な眼差しを向けられて、いつも通りに言葉を返すことがままならなくなる。


こいつのこういうところ、すげーずるいって思う。



普段は子犬みたいに人懐っこく付きまとってくるくせに、掴んだ手の強さとか、意志の強い瞳とか、男らしさを不意に出してくるからこっちは心の準備を出来た試しがない。



「やってみれば」



俺は顔を顰め、そっぽを向いてみたが、真っ赤であろう顔でそんなことしても猫の威嚇程度のものだろう。



今はシェパード犬の伊織は、雄全開の色気を出しながら俺の前髪を優しく手で払い、おでこに唇をつける。



「次は何があってもやめませんから、そのつもりで」



ーーー今日、俺の心臓は持つんだろうか。




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