恋人⇆セフレ
第8章 したい、させたい
ぐっと腰を引き寄せられると、硬くなった伊織のものが当たり、ぐにゃりと感覚がおちる。
もう力のない人形のようだ。
伊織の手はまるで魔法のようで、俺を溶かしてくれる。
「志乃さんの顔、もう蕩けてる…俺の手が気持ちいい?」
顔間近に囁かれた言葉に力なく頷くと、目尻を優しく下げた伊織が俺を抱き上げた。
「うわっお、おい!?」
突然の浮遊間に慌てて首にしがみつく。
身長の高い伊織に合わせた視界は普段よりも高い上に、慣れない態勢で一抹の恐怖を感じてしまう。
そんな俺の気持ちを露知らず、軽々と俺を持ち上げた伊織は俺を見て呑気に笑っている。
「志乃さんから抱きつかれるの、悪くないですね」
「やかましい!心臓縮むから一言声かけろよ!」
「あれ、高いの苦手ですか?」
「ちがっ…うくはないが、心の準備があればそこまでじゃない!!!」
「ふはっじゃあ、しっかり掴まって、これで気を紛らわせてください」
はあ!?と思ったのもつかの間、横抱きされていた体をひょいっと向かい合うように抱き上げられ。
「んう…ッ」
熱い唇が俺の唇を塞いだ。