恋人⇆セフレ
第8章 したい、させたい
一瞬で俺を快楽に連れ去った伊織の舌が歯列をなぞって、唇の裏の粘膜に潜り込む。
クチュ、という水音が脳内に響いて、ビリビリと体の先という先が痺れ出したおかげで、もうおかしくなってしまいそうだ。
「んん…」
わずかな吐息すらも食い尽くすようなキスで唾液が溢れ、口の端から溢れるのも構わず、口腔を貪り合う。
そうしているうちに、いつの間にたどり着いていたのか、俺の体はベットに沈められていた。
どうやら伊織の気を紛らわせる作戦にまんまとハマってしまっていたらしい。
「っ」
「細い腰」
裾から潜り込んだ伊織の手が俺の腰をなでる。
擽ったさに身を捩ると、伊織の瞳は扇情的に揺らめいた。
「壊れてしまいそうですね」
甘い吐息混じりにそう言った伊織は、顔を下へと降ろしていく。
その姿を、期待と緊張を込めて見つめる。
ーー綺麗な顔だな、本当に。
伏し目がちな瞳を囲う長い睫毛。すっと通った鼻梁。キスで濡れた薄い唇。
健康的な肌の色は、ほんのり赤づいていて。
甘く濡れた唇を開けた伊織は、下着の上から志乃の熱塊をパクリと食んだ。
「ひぁ…っ」
「ん、もう志乃さんの濃い味がする」
「あ、バカ、いきなり…ッ」