恋人⇆セフレ
第2章 お前がそうするなら、
どうやって歩いたのかも覚えていないも、気づけば"そういう場所"に辿り着いていた。
「………うぇ」
その場に足を踏み込んだ瞬間、値踏みされるかのような視線に吐き気がする。
やばい、ちょっと早まったか?
大体、男と経験なんて真木としかないのに、何やってんだ俺。
「…帰るか」
馬鹿なことをしたと直ぐに我に返って、そこから立ち去ろうと踵を返す。
「待ってよそこのおにーさん」
「ぅわ」
だけど俺の行く手を阻むように、ガタイのいい男が突然目の前に現れた。
ゴツゴツした男の手が肩に置かれて、ゾワッとする。
「おにーさんもこっちの人だろ?その反応見る感じ、初めて来た?」
「…いや、ただ道を間違えて来てしまっただけなので」
パシ、とできるだけ拒絶を表に出しながら手を払い、早歩きですり抜ける。
「え、大丈夫?俺送るよ?もう電車もないし家ここら辺だろ?」
「っ結構です。帰れますので」
「そんなこと言わずにさ〜」
やばい、この男しつこいぞ。心なしか目がギラギラしてる。
遠慮のない欲情を向けられて、冷や汗が止まらない。
「でもここら辺男でも危ないよ?おにーさん凄く綺麗だから心配なんだけどな」
今一番危ないのはお前だろーが!!!
「っ着いてくんな!」
「えぇ?酷いなぁ、俺、君の顔も体も本当に好みなんだけど」
「知らねえ」
ーーくそ、こんなの早まったどころじゃない。イライラを他人にぶつけようとした時点で馬鹿だった。
「あれ、大丈夫?汗すごいよ?」
「っ」
やめろ、触るな。気持ち悪い、気持ち悪い。真木。助けろよ、真木…っ!
「おい!何やってんだ!!」