恋人⇆セフレ
第8章 したい、させたい
もっと欲しい。
ーーと、そんな風に物欲しげに見ていたら、瞳を細めた伊織が俺の頬を撫ぜた。
「志乃さん、どうしたの?物欲しそうに見えるけど、俺にどうして欲しいんですか?」
「っ言わせるのかよ」
「だってその方が興奮しますし」
耳に唇をつけ、楽しそうに囁かれた言葉に睨みたくなる。このエロ犬め。
ムッとしたまま汗で濡れた額を乱雑に拭い、カーテンの隙間から差し込む光の反射でキラキラ輝く指を、なすりつけるように硬い胸板に這わせた。
俺の汗で胸元を濡らした伊織の肌は、途端にいやらしくなる。
あぁ。確かに興奮……するな。
「…躾のない奴」
「忠実さはありますよ」
ちゅ、と軽く口付けられる。
くそ。もうずっとムラムラして死にそうだ。互いの吐息が甘やかなのも、とうに気付いているんだ。
「……さっきの…」
「うん…」
「さっきみたいなのが、欲しい。もっと深くていい。激しくてもいい。嫌だって言っても、やめなくていいから…伊織のデカイので、俺のナカをもっと掻き回して…ッ!?」
言い終わるより先に、視界がぐるりと回った。
「アッ!?!」
そして、感じたことのない質量で胎の最奥まで満たされる感覚に、首をのけ反らせる。
ーーいつの間にか立場が反転して組み敷かれ、ドクドクと脈打ちながら奥深くに存在を主張するのは、紛れもなく伊織のモノだ。
「すみません、可愛すぎて我慢が効きませんでした」
「っぁ…」
息苦しさではあっと大きく息を吐き、吸い込むと、ますます伊織の形を覚えるように咥え込んでしまう。
シーツを思わず握り込めば、綺麗な顔を僅かに歪めた伊織の手がそっと右手に重なった。