恋人⇆セフレ
第9章 「初恋の」
「もっと規模を小さくしろ」
『えっあっ、俺の家です俺の家!』
聞きたいことがやっとわかったのか、伊織が恥ずかしそうに慌てて訂正する。
そうか、訂正はバッチリだな。
そうか、そうなんだな。
ーーーーー伊織、お前は死刑だ。
「東という男は今日から小猿に降格」
『ふはっなんですか?それっ』
楽しそうに声を出して笑う伊織。どうやらジワジワ背後を狙う俺の怒りの死刑の気配には気づいていないらしい。
これだから天然の人たらしはタチが悪い。もう、いい加減気づけよ。
「ばーか。もう帰っても暫く触らせねえから」
『???えっ待ってください、それは無理です!!どういうことですか?!俺、何かしました!?』
途端にデカくなった声に携帯を耳から少し離す。
つうかどんだけ俺のこと触りたいんだよ…。
「何って…お前、どういうつもりであの写真送ってきたんだ?」
『どういうつもりって……近況報告…?ですかね…?
今日はほとんど東のことですけどーーーー…って、あ、』
伊織は言っている途中で気付いたのか、息を呑んだあとたっぷりと間を開け、「可愛すぎでしょ…」とボソリと呟いた。
煩い。俺だって伊織の部屋には行ったことがないんだぞ。それなのに、アイツは一日中伊織といるのに飽き足らず、部屋にまで上がり寝ているんだ。
それを許している伊織は、もっともっと重罪だ。
『あの、それで、電話を…?』
「…悪いか」