恋人⇆セフレ
第9章 「初恋の」
「は、腹が、痛くて」
腰を折っていることを不審がられず、かつ勃っているモノを見られないようにする理由としては最良の答えを出せた俺。褒め称えて欲しい。
だが、内心冷や汗ダラダラの為、早くあっちいけという気持ちしかない。
「腹痛…?体冷やしたのか?」
「っ待て、いいからっ」
が、ホッとしたのも束の間。どれ、と言うように顔を覗かせた真木に、ひゅっと息を飲む。
まずい。
そう思った時にはもう既に遅く、間近で顔を見られたせいで、顔が火照っているのも、携帯の存在も、きっと勃ってしまっているのも真木にバレてしまった。
目を大きく瞠らせた真木が、固まって数秒後、気まずそうに顔を逸らしたのが何よりの証拠だ。
あぁ、最悪だ…。
「……わ、るい。まだ話しているとは、思わなかった。取り込み中だったらしいな、」
「……」
取り込み中。それがなんの意味を示しているのか分かってしまった分、羞恥心が限界を超えてしまいそうだ。お陰で言葉が何一つ出てこない。
ーーーよりによって、真木に見られるなんて。
俺がこういうのはやらないタイプだとバレている分、余計に恥ずかしい。
肝心の真木の顔がまったく見えないからどう思われてるかわからないが、『こんな事やる奴だったんだ』と思われているに違いない。
「っ」
グルグルとそんなことを思っていると、真木が不意に俺に視線を落とした。今度はこっちが慌てて視線を外すことになる。
「…でも、もうそろそろご飯が運ばれてくる頃だ。仲居さんが来る前に行くぞ」