恋人⇆セフレ
第11章 空白
「いや…実はまだ読んだことなくて。でも、知り合いがその人のファンで…俺も読みたいなって」
そう言うと、女の子2人は新作のことと、おすすめの本をいくつか教えてくれた。
新作の小説の題名は『寡黙の恋』。
きっとこの本の中に、すべてが詰まっている。もしかしたら、今の志乃さんとのことも書かれているかもしれない。
少しずつ、読んでいこう。
傷が開くとしても、少しずつなら。
貴方の幸せを静かに見守れるようになるかもしれないから。
俺は隣の女の子たちにお礼を言って、「授業中になにモテてんだよ」と東にちょっかいをかけられつつ、教授の声に耳を傾けた。