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恋人⇆セフレ

第11章 空白




電話?
しまった、今何時だ?


慌てて携帯画面を見ると、【東】の文字と、19時47分という時計の表示。



予定よりも大分オーバーしている。30分だけ読むつもりが、アラームにも気づかないほど読み耽っていたらしい。



俺は本を閉じて、携帯を耳にーーー耳から若干離して、通話ボタンを押した。



『ふーーーーじーーーー!!!俺俺ー!!!」



面白いくらい予想通りのテンションで、東の声が耳を劈いた。



しかも今日は、俺が気分を沈ませていた上に本を買う為、さっさと帰ってしまった事で心配させたからか余計にテンションを上げてきている。



「分かってるよ。どうしたの?」


『いや、実は今合コンに来てるんだけどさ!』



合コン…?



東の馬鹿でかい声が強くて気にならなかったけど、確かに騒ついた音が漏れて聞こえてくる。



「へえ。東が合コンなんて珍しいね。で?この電話は?女の子ゲットできなかった泣き言の電話?」


『ちげーーし!!まだ始まったばっかだし!

って、そんなことはどうでもいいんだって!』



珍しく慌てたような喋り。


「…どうしたの?」


ガヤガヤと騒がしい後ろの音にかき消されないよう、俺も真剣に耳に傾けることにする。


何かあったのだろうか。


しかし、思わず息を潜めた俺の耳に届いたのは、思いがけない言葉だった。






『えーっと、名前なんだったっけ!?あの人!お前の試合見にきてたキレーなお兄さん!!さっき見かけたんだよ!』




ーーーーーーーー…。




一瞬なにを言われているのか分からなくて、はた。と時が止まった。





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